次の式を展開しなさい。
(1)$ (a+b+3)(a-b-3) $
(2)$ (a+b-3)(a-b-3) $
展開の問題は、無思考に頭から順に掛けていき、同類項をまとめさえすれば正解を出すことはできる。 時間をかけさえすれば、ほとんどの人が正解を出せるのだ。 しかし、問題出題者の意図は、数学的な柔軟な発想を用いて、工夫して計算することを要求している。 入試問題として出題する場合は、創意工夫ができない人に時間と労力を使わせ、 ふるい落すために出題しているといってよい。
3項×3項の展開の計算は、以下のパターンで出題される場合が多い。
① マイナスがついた括弧で括りだして、中抜けの形式
② 配置を変えて、中抜けの形式
以上の2つを基本として知っておけばよいだろう。
(1)$ (a+b+3)(a-b-3) = \{a+(b+3)\}\{a-(b+3)\} $ と括弧で括る。
2つ目の括弧の後ろ2項をマイナスの括弧で括りだしてやる。 すると、との部分が共通で、間の符号が異なる、 いわゆる『中抜け』$ (A+B)(A-B) $ の形になる。
$ \{a+(b+3)\}\{a-(b+3)\} = a^2-(b+3)^2 \\ = a^2-(b^2+6b+9) \\ = a^2-b^2-6b-9 $
(2)$ (a+b-3)(a-b-3)=(a-3+b)(a-3-b) $ と順番を入れ替える。
すると、$ (a-3+b)(a-3-b) = \{(a-3)+b\}\{(a-3)-b\} $ と括弧で括ることができ、$ (A+B)(A-B)=A^2-B^2 $ (中抜け)の形になる。
$ (a-3+b)(a-3-b) = \{(a-3)+b\}\{(a-3)-b\} \\ = (a-3)^2-b^2 \\ = (a^2-6a+9)-b^2 = a^2-6a+9-b^2 $