次の式を因数分解しなさい。
(1)$ (ab+1)^2-(a+1)^2 $
(2)$ x^2-y^2-12x+36 $
(3)$ x^2y^2-x^2-y^2+1 $
(4)$ xy-3x-2y+6 $
(1)$ (ab+1)^2-(a+1)^2 $
これはパッと見て、「2乗-2乗」の形とわかるだろう。
つまり『中抜け』の形である!!
$ ab+1 = A $,$ a+1 = B $ と置くと、
$ (ab+1)^2-(a+1)^2 = A^2-B^2 = (A+B)(A-B) $
$A$,$B$に、 $ ab+1 = A $,$ a+1 = B $ を戻すと、
$ (A+B)(A-B) = (ab+1+a+1)(ab+1-a-1) \\
= (ab+a+2)(ab-a) $
最後の2項目は$a$ で括りだせるので、
$ (ab+a+2)(ab-a) = a(ab+a+2)(b-1) $ ・・・(答)
※ 最後のくくり忘れに注意。共通因数で括りだせるものは、しっかり括りださいと、計算途中で計算を止めたということで×になります!
(2)$ x^2-y^2-12x+36 $
おっ!前2つの項が「2乗-2乗」だから『中抜け』の形式だ!と思って、
$ x^2-y^2-12x+36 = (x+y)(x-y)-12(x-3) $
としたところで何も見えてこない(泣)。
発想そのものは悪くない!!このように式の特徴を使って、いろいろやってみることは大切なことだ。 うまくいきそうにないなと思ったとき、別のルートを探ろうという発想の転換が重要なのである。 要は頭脳の柔らかさである!
$ x^2-y^2-12x+36 = x^2-12x+36-y^2 $ と、項の順番を入れ替えたらどうだろうか。
前3つの項が因数分解できる。 $ x^2-12x+36-y^2 = (x-6)^2-y^2 $
すると、なんと中抜けの形式が浮かび上がった! $ x-6 = A $ と置くと、$ (x-6)^2-y^2 = A^2-y^2 = (A+y)(A-y) $
よって、$ (A+y)(A-y) = (x-6+y)(x-6-y) $・・・(答)
(3)$ x^2y^2-x^2-y^2+1 $
2番目と3番目の項に「2乗-2乗」(中抜け)があるように見えるが、-を付けた括弧で以下のように括ってやると、間の符号は+になるので「中抜け」の形式ではない。
$ x^2y^2-x^2-y^2+1 = x^2y^2-(x^2+y^2)+1 $ ←「中抜け」ではない!
$ x^2y^2-(x+y)(x-y)+1 $ のように間の2項を中抜けと勘違いして因数分解してしまった人は要注意。 この式は間違いである!!この間違いの式の右辺を逆に展開してみると左辺にならぬことが良く分かるだろう。
$ x^2y^2-(x+y)(x-y)+1 = x^2y^2-(x^2-y^2)+1 \\
= x^2y^2-x^2+y^2+1 $
$y^2$ の前の符号が問題の式と違ってくる。
頭を切り替えて、式の一部を括ってみることにする。
$ x^2y^2-x^2-y^2+1 = x^2(y^2-1)-(y^2-1) $
共通部が見えた!!
【鉄則】式の一部を、因数分解や共通因数で括りだすと見えてくるパターンもある!
共通部を$ y^2-1=A $ と置くと、
$ x^2(y^2-1)-(y^2-1) = x^2A-A = A(x^2-1) $
$A$ に$y^2-1$ を戻すと、
$ A(x^2-1) = (x^2-1)(y^2-1) $
これで終わってはいけない。$x^2-1$ も$y^2-1$ も「中抜け」の形式だと気が付くだろうか。
【鉄則】頭に叩き込め!1を2乗しても1だ。よって、1は1の2乗とも解釈できる!
$ (x^2-1)(y^2-1) = (x^2-1^2)(y^2-1^2) = (x+1)(x-1)(y+1)(y-1) $ ・・・(答)
(4)$ xy-3x-2y+6 $
この問題も、部分的に共通因数で括ってやると見えてくるという問題。
$ xy-3x-2y+6 = x(y-3)-2(y-3) $
$ y-3 = A $ と置くと、$ x(y-3)-2(y-3) = xA-2A = A(x-2) $
$A$ に$ y-3 $ を戻すと、$ A(x-2) = (x-2)(y-3) $ ・・・(答)
【ひとこと】
因数分解を終えたら、
①それ以上因数分解できないか?
②展開したら元に戻るか?
をしっかり確認すること!