長さの違う2本の紐があり、長い紐の長さは短い紐の長さよりも35㎝長く、 また、長い紐の長さは短い紐の長さの3倍よりも5㎝長いそうです。 短い紐の長さは何㎝ですか?以下の方法で求めよ。
(1)中学2年で習う連立方程式で解きなさい。
(2)中学1年で習う1次方程式で解きなさい。
(3)小学算数までの範囲で解きなさい。(方程式を使わないで解くこと。)
これは中学1年生の1次方程式の問題であるが、 あえて連立方程式と小学算数の方法でも解くように問題を改変した。
ただ答えを出すだけが目的ではない。この1問を通して、多くのことを学ぶことが大切である。 特に小学算数の線分図を使った解法は、数量(この場合は紐の長さ)を線の長さで表すという視覚を使った解法である。 一方、方程式は問題文の文章を未知数の文字を使って「数式に翻訳する」という言語系の脳を使った解法である。
小学算数の解法は右脳を使い、中学以降の方程式を使った解法は左脳を使うというイメージでよいだろう。
しかしながら、方程式は、一度、立式できてしまえば、あとは機械的に計算するだけで解けてしまう。 さほど頭脳を鍛えられるものではない。 だから、あえて便利な道具である「方程式」を封印して問題を解くことで、頭脳を鍛えるのである。
長い紐の長さを$x$ ㎝,短い紐の長さを$y$ ㎝とする。
(※ 上記の文を書かない人がいるが、自分で定義したものは紙面に必ず書くこと。)
「長い紐の長さは短い紐の長さよりも35㎝長く」を数式に翻訳すると、
$ x+y=35 $ ・・・①
「長い紐の長さは短い紐の長さの3倍よりも5㎝長い」を数式に翻訳すると、
$ x=3y+5 $ ・・・②
以上、2つの連立方程式ができた。どちらも$ x= $ の式なので、右辺をつなぎ合わせて、
$ y+35=3y+5 $ → $ y=15 $(㎝)・・・(答)
短い紐の長さを$x$ ㎝とすると、長い紐の長さは、$x+35$㎝と表せる。
「長い紐の長さは短い紐の長さよりも35㎝長く」は、すでに上記のように翻訳できているので、 「長い紐の長さは、短い紐の長さの3倍よりも5㎝長い」を数式に翻訳する。
$ x+35 = 3x+5 $
これを解いて、$ 2x=30 $
$ x=15 $(㎝) ・・・(答)
問題の紐の長さを線分図で表すと上図のようになる。AB=BC=CDである。
短い紐の長さを線分ABとすると、その3倍の長さは線分ADとなる。長い紐はさらに5㎝長いのだから、DE=5㎝を足して、長い紐は線分AEの長さとなる。
長い紐は、短い紐よりも35㎝長いといっているので、BE間が35㎝となる。 DE間の5㎝を引いてやると、BD間は30㎝。
短い紐の長さは、その半分なので15㎝。・・・(答)