【基本】文章題(中学2年)

A中学校の今年の自転車通学者は、昨年の自転車通学者と比べると20人増加して510人であった。 これを男女別に見ると、昨年に比べ男子の人数は10%の減少であり、女子の人数は20%の増加であった。 このとき、今年の自転車通学者の男子と女子の人数をそれぞれ求めなさい。

佐賀県 公立高校

解説

時系列の問題である。時系列の問題とは、「過去は〇〇だった。 それが何割か変化したので、現在△△になった」という類の問題のことである。

【鉄則】時系列の問題は、過去の未知数を文字で置け!

問題文にある「〇割(〇%)変化した」というのは、過去のものを基準に「〇割(〇%)変化した」 といっている場合がほとんどである。だから、現在を基準に過去への変化の割合を考え直すよりも、 文章に逆らわず、過去のものを基準に考えたほうが楽であろう。

もちろん現在を基準に過去に戻るための割合を考えてもよいが、 割合の感覚がしっかりした人でないと立式の段階で間違うことになる。

解答

昨年の自転車通学者の男子の人数を $x$(人)、女子の人数を $y$(人)とする。

「今年の自転車通学者は、昨年の自転車通学者と比べると20人増加して510人であった」を数式に翻訳する。 簡単に言えば、昨年の男女の合計人数に20人の増加があり、今年510人になったということ。
$ x+y+20=510 $ ・・・①

次に、「男女別に見ると、昨年に比べ男子の人数は10%の減少であり、女子の人数は20%の増加であった」を数式に翻訳しよう。 変動した人数について立式する。

男子の人数の変動数:$ \displaystyle -\frac{10}{100}x $(人),女子の人数の変動数:$ \displaystyle +\frac{20}{100}y $(人)

「増加する」をプラスとして考えると、男子は減っているわけだからマイナスになる。 この男女の変動の和が「20人の増加」、つまり+20(人)ということ。
$ \displaystyle -\frac{10}{100}x +\frac{20}{100}y = +20 $ ・・・②

2つめの式を別の式にすることも考えられる。

「男女別に見ると、昨年に比べ男子の人数は10%の減少であり、女子の人数は20%の増加であった」を男女の今年の人数について立式する考え方もある。

男子の人数は10%の減少とあるので、今年は昨年の90%(0.9倍)になったということ。
今年の男子の人数:$ \displaystyle \frac{90}{100}x $(人) ・・・③

女子の人数は20%の増加とあるので、今年は昨年の120%(1.2倍)になったということ。
今年の女子の人数:$ \displaystyle \frac{120}{100}y $(人) ・・・④

この合計が今年の合計人数510人ということなので、
$ \displaystyle \frac{90}{100}x + \frac{120}{100}y = 510 $ ・・・⑤

①,②または①,⑤の連立方程式を解いて、$x=260$,$y=230$ が得られる。

$x,y$ の値が綺麗に出たもんだから、ここで「\(≧▽≦)/ ワーイ♪」と大喜びしちゃって解答欄に、「男子260人 女子230人」と書くと、ものの見事にバツとなる!!

聞かれているのは「今年」の男女の人数だ!

未知数 $x,y$ は「昨年」のものとして置いた。だから、これをもとに「今年」の男女の人数を出さないといけない。

今年の男子の人数は、③式に260を代入し、234人 ・・・(答) 今年の女子の人数は、④式に230を代入し、276人 ・・・(答)

【ひとこと】 問題出題者は、問題文をしっかり読み、最後まで緊張を切らさずに正解を出せるかを見ている。 典型的な「ひっかけ」の問題ともいえる。見事に罠にはまらないよう注意したい。