2つの容器A,Bがあり、異なる濃度の食塩水が入っている。容器Aには濃度 $a$ の食塩水 $A$ g、容器Bには濃度 $b$ の食塩水 $B$ gが入っている。 2つの容器A,Bから、等量 $x$ gの食塩水を交換したら、AとBの濃度が等しくなった。 このとき以下の問題に答えなさい。
(濃度 $a$,$b$ は小数による表現とする。百分率の表現にしたい場合は100を掛けること。)
(1)交換した食塩水の重さ $x$ は、$A$,$B$ のみで表すことができる。$A$,$B$ のみで表した式を求めなさい。
(2)等量交換した後の一致した食塩水の濃度は、最初に用意された2つの食塩水をひとつの容器に入れ、混ぜ合わせてできる食塩水の濃度と等しくなる。これを証明しなさい。
オリジナル問題
容器A | 容器B | |
---|---|---|
食塩水の重さ(g) | $A$ | $B$ |
濃度(小数の表現) | $a$ | $b$ |
食塩の重さ(g) | $aA$ | $bB$ |
最初の時点での容器A,Bの食塩水の重さ、濃度、中に溶けている食塩の重さを整理すると上の表のようになる。
等量交換する $x$ gの食塩水に含まれる食塩の重さは次のようになる。
容器Aから取り出される食塩の重さ:$ax$(g) ・・・①
容器Bから取り出される食塩の重さ:$bx$(g) ・・・②
容器Aから①が出ていき、②が入ってくる。容器Bから②が出ていき、①が入ってくる。
よって、最終的な容器A,Bの濃度は、
容器Aの濃度:$ \dfrac{aA-ax+bx}{A} $ ・・・③
容器Bの濃度:$ \dfrac{bB-bx+ax}{B} $ ・・・④
濃度が等しくなったということだから、$ \dfrac{aA-ax+bx}{A}=\dfrac{bB-bx+ax}{B} $ となる。 この等式を変形して、$x$ について解く。
両辺に $AB$ を掛けて、分母を払う。
$ AB \cdot \dfrac{aA-ax+bx}{A}=AB \cdot \dfrac{bB-bx+ax}{B} $
→ $ B(aA-ax+bx)=A(bB-bx+ax) $
→ $ aAB-axB+bxB=bAB-bxA+axA $
移項して、$ aAB-bAB=-bxA+axA+axB-bxB $
括弧で括って、$ AB(a-b)=x(-bA+aA+aB-bB) $
右辺の括弧内をさらに括弧で括る。
$ AB(a-b)=x\{ A(a-b)+B(a-b) \} $ → $ AB(a-b)=x(a-b)(A+B) $ となる。
ここで、最初の濃度はそれぞれ違うということから、$ a \neq b $ であり、$ a-b \neq 0 $ である。
【重要】両辺を同じ数で割るとき、事前に割る数が0でないことをいわなければならない。
両辺を $ a-b $ で割ると、$ AB=x(A+B) $
当然、$ A+B \neq 0 $ なので、両辺を $ A+B $ で割って、$x= \dfrac{AB}{A+B}$ ・・・(答)
まず容器A、Bの食塩水をひとつの容器に合わせて混ぜ合わせた食塩水の濃度を求めよう。 食塩水の重さの合計は、$A+B$(g)であり、食塩の重さは $aA+bB$(g)となる。
よって、食塩水の濃度は、$ \dfrac{aA+bB}{A+B} $ ・・・⑤ となる。
次に、等量交換した後の容器A(または容器Bでもいい)の濃度を、 (1)で求めた答えを使って表してみる。③式の $x$ に(1)の答えである $ x=\dfrac{AB}{A+B} $ を代入する。
容器Aの濃度:$ \dfrac{aA-ax+bx}{A}=\dfrac{aA-a\dfrac{AB}{A+B}+b\dfrac{AB}{A+B}}{A} $
分子・分母のすべての項に $A$ があるので、分子・分母を $A$ で割る。(つまり約分する。)
$ \dfrac{aA-a\dfrac{AB}{A+B}+b\dfrac{AB}{A+B}}{A} = a-a\dfrac{B}{A+B}+b\dfrac{B}{A+B} $ となる。
右辺を通分し、整理する。
$ a-a\dfrac{B}{A+B}+b\dfrac{B}{A+B} \\ = \dfrac{a(A+B)}{A+B}+\dfrac{-aB}{A+B}+\dfrac{bB}{A+B} \\ = \dfrac{aA+aB-aB+bB}{A+B} \\ = \dfrac{aA+bB}{A+B} $
∴ 等量交換した後の容器Aの濃度= $ \dfrac{aA+bB}{A+B} $ ・・・⑥
これは、容器A, Bの食塩水をひとつの容器に合わせて混ぜ合わせた食塩水の濃度である⑤式と一致した。
したがって、濃度の異なる2つの食塩水において、等量交換した後、食塩水の濃度が一致した場合、 その濃度は、2つの食塩水をひとつの容器に入れ、混ぜ合わせてできる食塩水の濃度と等しくなるといえる。(証明終わり)